全司法本部活動日記 (Blog)

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東京司法九条の会 「メディアから考える憲法」

 

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昨日(17日)の夜、東京地裁支部がOBの人たちと一緒に作っている東京司法九条の会主催の学習会に参加してきました。

「メディアから考える憲法」というタイトルで、講師は元読売新聞記者でジャーナリストの山口正紀さん。憲法報道を新聞各社がどう報道してきたかというテーマでの講演でした。

私なりに内容をまとめると、

① メディアが憲法について報道するようになったのは1990年代に入ってから。湾岸戦争で「日本もカネを出せ、血も流せ、汗も流せ」という主張がされるようになってから。

1993年の憲法記念日に各社が社説を出した。この時のスタンスは、改憲推進が「読売」(1994年には「憲法改正試案」を発表)・「産経」、改憲反対が「朝日」(「めざせ憲法9条の地球化」という格調高い主張だったが、その後、改憲派に押し流され「論憲」に)・「日経」(財界の動きも背景に「改憲」に)、慎重論が「毎日」(朝日同様、その後、「論憲」に)・「東京」(自民の2005年新憲法草案の報道で批判姿勢を鮮明に)。

② 自民党2012年に憲法破壊の「改正草案」を出し、2012年の衆院選で「改憲」を公約にしていたにも関わらず、メディアはそれを報道せず、経済政策ばかりを報道。自民圧勝・政権交代という結果になった。

続く、2013年7月の参院選でもメディアは争点を隠し、「ねじれ解消」をキャンペーン。与党が安定多数を確保(ただし、維新の会の失速は、一気に改憲に向かう流れに歯止めをかける意味で救いだった)。

 ➂ 特定秘密保護法では、新聞労連は早くから問題点を指摘していたが、全体の反応は鈍く、立ち上がりが遅かった。もう一か月早かったら、流れは変わっていたかもしれない。

 日本新聞協会10月2日に「強い危惧」を表明したが、「読売」は法案賛美の寄稿を掲載、「産経」は翼賛報道、日経は社説では批判したが、問題点を伝える姿勢は希薄。朝日は批判記事を掲載するも、一方で「成立の見通し」報道を繰り返す(いわゆる「プロの政治記事」だが、これが推進派を助け、市民の運動に水をさす。朝日はよくこれをやる)。NHKが特にひどく、秘密保護法案など存在しないかのような報道ぶり。

 その中で「毎日」「東京」が精力的な批判報道を展開した(国民的な運動を背景に、内部でがんばる記者を周囲が支えた。この2社は現場取材の気風が残っており、労働組合も比較的活動ができている)。

 

 今の自民党などの「改憲」の動きは「壊憲」だと指摘する山口さん。時間の都合で今後の運動にまで話がいきませんでしたが、「マスコミは変わることができるのか」との会場からの質問に「内部でがんばっている記者はいる」と述べられ、国民的な運動と内部の労働組合の重要性を指摘、また、読者が記事に対する非難や感想(良い記事に対する感想ががんばる記者の支えになることも紹介)をメディアに伝えることの必要性を語られたのが印象的でした。

 さて、今の政治の動きの中で、東京地裁支部がこうしたとりくみを続けているのは素晴らしいし、大切なことだと思いました。現職の機関役員が日常活動(そこは現役しかできません)で忙しい中で、こういう「+α」の活動こそOBの力を借りるというのは、他の支部でも検討できるアイデアではないでしょうか。

 

(なかや)