全司法本部活動日記 (Blog)

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新年のごあいさつ  「憲法を守る」がキーワードになる年

新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 

中学生の時、学校の社会科の授業で日本国憲法前文を暗唱する宿題が出ました。この国のあり方を高らかに謳いあげる文書を暗記しながら、「カッコイイ」と思ったのを今も覚えています。いわば「一目ぼれ」でした。その思いは、今、改めて憲法を読んでも変わりませんし、そう思うのは前文だけではありません。

13条は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」として、国家は国民が幸せになるためにあるのだと述べています。しかも、25条で「健康で文化的な最低限度の生活」を営むことができるよう「国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」として、国が積極的に行動すると表明しています。今、社会問題になっている「格差と貧困」など、本当は、憲法はけっして許さないのです。

「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」と定めた28条は、働く者が自らの権利を守るためには、労働組合を作って、使用者と対等の立場で交渉し、行動することが必要だという、私たちの運動の基礎を定めてくれています。そして、99条は「この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」として、憲法を実行するのが公務員の仕事だと、私たちの日々の仕事のあり方を指し示しています。裁判所にとっては「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する」とする76条がその権限を定める重要な規定です。憲法は私たちの運動や仕事の立脚点でもあるのです。

そして、9条は日本が「戦争をしない」「軍隊を持たない」ことを定め、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と宣言する前文とあいまって、国際的紛争は外交や国際協力の中で解決する平和国家の道を明確にしています。

その憲法が今、壊されようとしています。それも、本来なら憲法を守る立場にある「政府の行為によって」です。

「今の憲法は理想的すぎて現実に合わない」と言う人がいますが、私はそうは思いません。憲法を実行する責任のある人たちに長年にわたってサボタージュされて「現実」の方が歪められ、憲法によって守られている国民にもその姿が見えなくされてきたのです。

だからこそ、安保法制(戦争法)をめぐって、憲法が改めてクローズアップされてきたことの意味は非常に重要です。今年は、私たちが関わっている様々な運動で「憲法を守る」ことがキーワードになると思いますし、憲法を守ることによってこそ、私たちの要求実現の展望も本当の意味で見えてくるのだと思います。そのことを指摘して、2016年の新年のあいさつに代えたいと思います。

 

全司法労働組合中央執行委員長 中矢正晴

 

※ 1月4日、国会開会にあわせて実施された、総掛かり行動実行委員会の国会前行動に参加しました。今年の「デモはじめ」です。f:id:zenshiho_blog:20160104123856j:plain