全司法本部活動日記 (Blog)

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全司法第73回定期大会

全司法は7月24~26日に第73回定期大会を開催しました。
今大会の特徴は、次の三つにまとめられると思います。

 第一に、「憲法を巡る情勢が議論され、裁判所の労働組合として、憲法を守り活かす運動に積極的に結集することが確認された」ということです。
 7月10日の参議院選挙で自民・公明・おおさか維新などの改憲派が3分の2以上の議席をとり、衆参ともに改憲の発議に必要な議席を占めました。安倍首相はさっそく改憲に意欲を見せていますが、特に注目すべきは「自民党改憲草案をベースに」論議を進めたいとしており、この秋の臨時国会から議論に入るとしていることです。この改憲草案は、一言で言えば、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重という憲法の基本原則をすべて破壊し、近代史の中で形成された「立憲主義」の概念を根底から覆す、およそ憲法とは呼べないものとなっています。これを認めるかどうかが、今の焦点です。
 一方で、日本国憲法に書かれているのは、「国は自分たちのものであって、自分たちの幸せのためにある、だから、みんなが個人として尊重され、様々な権利があって、平和に安心して生活できるようにしていこう」ということです。それは、ごく当たり前の、誰もが願っていることであり、そのための仕事をするのが公務員です。だからこそ、99条に尊重擁護義務があります。裁判所は76条以下にもとづいて設置された国の機関であり、私たちは憲法にもとづいて仕事をしています。ですから、「憲法を守ろう」と主張することは、裁判所の職員なら、自分の職業の延長として、ごく自然なことだと私は思います。
 また、私たちが全司法という労働組合を作って、活動できるのは、28条に労働基本権が定められているからです。しかし、自民党の草案には「公務員については、全体の奉仕者であることに鑑み、法律の定めるところにより、前項に規定する権利の全部又は一部を制限することができる」と書かれています。これは、全司法の存在に関わる問題です。
 組合員とその家族の命と暮らしを守る組織である労働組合が、こうした改憲をめぐる動きを放置するわけにはいきません。また、憲法や法律に則って仕事をする裁判所の労働組合として、憲法を守る運動に結集するのでなければ、国民から期待されている社会的責任を果たすことはできないと思います。これは、私たちが全司法という組織を設立している目的である、裁判所職員の社会的地位の向上、「国民のための裁判所」実現という根幹に関わる課題です。

 特徴の第二は「増員、昇格、異動、ITなど、要求実現のためのとりくみと今後の課題が示され、職場の中での全司法の役割が改めて確認された」ことです。
 引き続き切実な増員要求があり、人員シフトによる歪みも出ていること、人事評価制度のもとで昇格発令を勝ち取る運動が重要になっていること、調査官をはじめとした切実な異動要求が数多くあること、システム化・IT環境の整備がうまくいっていないことなど、職場で起きている問題を全司法の各支部がとりあげ、その解決のために真剣に努力している姿が、大会の発言を通じて改めて浮き彫りになりました。
 本部はこの間、「フレックスタイム制」、「ゆう活」、ストレスチェック制度、女性の活躍推進法への対応など、新たな制度が導入される際に地連・支部を通じて意見を集め、これをまとめて最高裁に提出するとりくみに力を注いできました。その結果、「フレックスタイム制」を裁判所の実態に見合ったものに変えさせ、今年の「ゆう活」は裁判所では実施しないなど、全司法が関与する形で職場のルールを作ってきています。また、年始にあったMINTASの問題や、最近のアスベスト調査などでは職場からの情報にもとづいて機敏に動くなかで、すみやかな解決を図らせてきました。こうした「職場実態を把握する力」が、全司法を「職員代表」として尊重させ、「誠実対応」を支える重要な要素になっています。
 私たち全司法が日々やっている活動は、まさにこうした活動であり、裁判所という組織にとって、なくてはならないものだということに、ぜひ自信を持っていただきたいと思いますし、そのことを、組合員の一人ひとりにまで伝えていきたいと考えています。

 そして、特徴の第三であり、最も重要な点ですが、「厳しい組織状況について認識が共有され、すべての組合員が「担い手」となって、組織強化・拡大に全力でとりくみことが確認された」大会だったということです。
 全司法はこの間、「組織強化・拡大プロジェクト」を方針として、とりくみをすすめてきました。今回の大会でも、節目節目で青年同士が集まる機会を作り、地道なとりくみが新採用職員の全員加入に結びついたこと、加入後のフォローを怠ってはならないこと、組合員参加型の活動をめざし日常的に顔の見える活動が組合員に浸透してきていること、職場で起こった問題に真摯にとりくむことで未加入者の共感にもつながり加入に結びついたことなど、各機関の真剣な努力と、そこでの教訓や成果が報告されたところです。
 しかし、一方で、組織状況、財政状況の厳しさが続いています。大会では、そのことを参加者全体の認識とし、組合員の拡大に全力をあげることが確認されました。
 展望を切り開くカギになるのは、組織強化・拡大が「一部の役員の課題」になってしまっている現状を打ち破って、組合員一人ひとりが自分の課題として考え、みんなで組合員を増やしていくための知恵と力を集めることができるかどうかにかかっています。そして、機関役員の役割は、そのための状況を作ることです。日常活動をきちんとやって、全司法に対する信頼を高め、みずからも未加入者に声をかけて、組合員一人ひとりが隣にいる未加入者に「全司法に入ろう」と自信を持って声をかける状況を作り出すことにあります。本部もできる限りの努力をしていきたいと思いますので、一緒にがんばりましょう。

中央執行委員長 中矢正晴

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大会から少し時間が経過しましたが、8地連中7地連の大会と青年協総会が終了し、本部も2016年度の活動に向けて本格的なスタートを切りましたので、このタイミングで、地連大会等で話をしてきたことの概要を掲載しました。