全司法本部活動日記 (Blog)

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人勧説明会に行ってきました

8月7日に人事院勧告が出されました。

引き上げ額はともかく、月例給・一時金とも7年ぶりの改善勧告は、春闘期から民間の仲間といっしょに、労働者の賃上げによる景気回復をめざして運動してきた成果と言えます。一方で、4月からは消費税率も引き上げとなり、ガソリンや日用品などの物価上昇の影響もあって、厚生労働省の毎月勤労統計では5月と6月の実質賃金は3.8%マイナスとなっており、実質的な生活改善には程遠い内容と言えるでしょう。

また、「給与制度の総合的見直し」では、これも私たちの運動の成果で一定押し返した部分はあるものの、人事院からは最後まで納得のいく説明が尽くされないまま勧告されたことは不満と言わざるを得ません。

人事院勧告関連資料は、国公労連ホームページへ→http://kokkororen.com/

こうした様々な思いがくすぶる中、当日の夕方に人事院本院で開催された人勧説明会に参加してきました。

人事院の担当者から、つらつらと型どおりの説明が45分程なされた後は質問タイム。回答を受けても納得できない部分やこちらの主張と噛み合わない部分は多々あって不満は募る一方ですが、個人的に最も納得できないのは次の3つ。

 

【地域間の給与配分の見直しに関して】

人事院が調査した「民間における異なる地域に事業所が所在する場合の給与の支給状況」では、「給与の支給額が同じ」が55.8%、「支給額が異なる」が44.5%(うち地域手当を支給しているのは28.2%)となっています。民間でも少数派の地域手当を、なぜわざわざ公務員に適用するんだ?

 

【技能・労務関係職種の給与の在り方に関して】

今回、民間の自動車運転手との比較での行(二)俸給表見直しを見送らせたのは運動の成果です。その上で、人事院は今回の(これまでも)勧告の中で「民間の動向を踏まえれば、民間と同様に業務委託等によることが可能な部署においてはその削減がより一層進められる必要がある」と言及しています。行(二)職の不補充政策は政府の方針であり、私たちは政府方針に反対して行(二)職の後補充の確保を求めているわけですが、政府の片棒を担ぐようなことを労働基本権制約の代償措置機関たる人事院が言うことではないし、言うべきではないと思います。

 

【再任用者の給与水準に関して】

再任用者の単身赴任手当が新設されたのは喜ばしいことですが、その他の生活関連手当が放置されているのは不満です。

再任用者の給与で見ると、人事院が公表した資料を見る限り、「職種別民間給与実態調査」の結果では係長級で4,000円、主任級以下で5,000円、公務が民間を下回っているとの結果がはっきり出ています。一般職で平均1,090円(0.27%)の改善勧告がされているのに、それより開きが大きい再任用者の給与改善になぜ手を付けないんだ?

 

いろいろと不満の残る人勧ですが、今後は国会での給与法改正審議に運動の舞台が移ります。政府は相も変わらず国家公務員の総人件費抑制政策を継続し、7月25日には「国家公務員の総人件費に関する基本方針」「新たな定員合理化計画」を閣議決定していることから厳しい対応となることも予想されますが、勧告の改善部分の早期実施を求めるとともに、「給与制度の総合的見直し」をはじめとするマイナス部分の中止を求めて、あきらめず奮闘していく必要があります。

 

(あべっち)